FOMC経済予測の概要(SEP)によると次のようになりました。太字が2025年3月時点の予測、カッコ内が2024年12月時点の予測です。
FOMC経済予測(Median) – 2025年3月 vs 2024年12月
項目 | 2025年 | 2026年 | 2027年 | 長期見通し |
---|---|---|---|---|
実質GDP成長率(%) | 1.7(2.1) | 1.8(2.0) | 1.8(1.9) | 1.8(1.8) |
失業率(%) | 4.4(4.3) | 4.3(4.3) | 4.3(4.3) | 4.2(4.2) |
PCEインフレ率(%) | 2.7(2.5) | 2.2(2.1) | 2.0(2.0) | 2.0(2.0) |
コアPCEインフレ率(%) | 2.8(2.5) | 2.2(2.2) | 2.0(2.0) | -(-) |
フェデラルファンド金利(%) | 3.9(3.9) | 3.4(3.4) | 3.1(3.1) | 3.0(3.0) |
※連邦準備制度理事会、Summary of Economic Projections(SEP)2025年3月分より引用しています。
GDP成長率は大幅に下方修正されましたが、ブルーチップコンセンサスも約1.6%付近で予測しており、これは想定内と言えます。
ブルーチップコンセンサスとは、アトランタ連銀のGDPnow(実質GDP予測)にある民間トップ企業50社の予測(青いライン)です。
むしろ南部からの移民流入が壊滅的に減少(関連記事)していることを考えると、26年、27年はやや強い予想に見えます。地区連銀のレポートをたまに見ていると、FOMCが移民流入数を気にしていないことはあり得ないと感じるので、これは生産性がさらに向上していくことで相殺する形になっているのかもしれません。
GDPの失速に対し失業率がほぼ上振れていないのは、このブログを読んでくれてる方には違和感がないと思います。以前記事にしたように雇用者数と失業率の強さには今後乖離が生じると思います。
インフレ率に関しては今年の分が上振れましたが、関税懸念が深刻化する中ではしかたないですね。でも来年以降しっかりと低下を予測しています。
これも先日記事にした通り、関税の影響が不明でむしろ過去のデータからは押し上げないことを示唆しているのと、先行指標からは鈍化が予想される(関連記事)ので、やはり物価は本質的に鈍化傾向であるとの見方を僕は維持しておきます。
ちなみにクリーブランド連銀が公表しているインフレ予測指標、インフレナウキャストは、3月分のPCE価格指数を、現在2.06%で予測しているので、もし2-3月の関税でPPIやCPIが上振れないのであれば、FOMCの見通しは再び下方修正されることもありえます。
つまり今回のFOMCの経済予測をまとめると、GDPを下方修正しつつも長期的にはしっかり下げ止まる事を予想している。そしてCPIとPPIに関税の影響が出てくるかが重要になるそんな内容でした。
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