米国の関税がどの程度物価に影響するのか、トランプ政権第1期目の影響を調べてみました。
トランプ政権第一期目の対中関税タイムライン
wikiの米中貿易戦争によると、次のように発動されています。
- 2018年7月6日 第1弾
340億ドル相当の中国製品に25%の関税
- 2018年8月23日 第2弾
160億ドル相当の製品に25%の関税
- 2018年9月24日 第3弾
2000億ドル相当の製品に10%の関税(2019年5月に25%へ引き上げ)
- 2019年9月1日 & 12月15日 第4弾(分割)
3000億ドル相当の製品に15%の関税、ただし9月1日に一部製品に適用後、12月15日予定だった分は第一段階合意で回避
対象品目は、主に工業製品ですが食品も一部含まれています。対象品目の詳細は大和総研の資料に、詳しいものがありましたのでぜひこちらを参考にしてください。
次に実際の物価推移を見てみます。
対中関税発動後の米国物価推移(2018-2019)
消費者物価指数 CPI
コアCPI
生産者物価指数 PPI
画像は全て米国労働統計局(BLS)のデータを基にFREDが作成したチャートです。また、関税の影響は輸入物価指標には含まれません。
これを見ると、実際に関税が発動されてから一番影響すると考えられるPPIは低下傾向となり、次に影響を受けるであろうコアCPIも、2019年5月ごろまでは緩やかに低下しています。
でも上昇している部分もあります。
2019年6月からのコアCPI、そして2019年後半のCPIです。
2019年5月には第3弾の引き上げがありました、また、第4弾には食品も増えているため、CPIも影響を受けているかと想像します。
しかし、実際にはその影響は限定的でした。
当時のCPIの詳細を確認してみる
次のリンクは、BLSのCPIの詳細データです。
月が離れているのは、詳細資料には3か月分のデータが記載されているので、これらで当時の状況を把握できます。
内容を見ると、対象製品を多く含む「Commodities less food and energy commodities」が、それぞれ6月に0.4%(前月比)上昇しています。コアCPIそのものは8月まで0.3%の上昇を続けましたが、年末まで関税が影響したと思える上昇はここだけで、CPIの食品についてはどこで影響したのかもハッキリわからない程度でした。
つまり、コアCPIとCPIの2019年下半期の伸びは、関税による影響をあまり受けていなかった可能性があります。
ではCPIの強い伸びが何だったのか見てみると、エネルギー価格がハッキリと上昇しています。これは9月14日に発生したサウジアラコムの石油施設へのドローン攻撃によるものです。
2025年の貿易戦争と米国物価を考える
以上を踏まえると、関税の影響はマーケットが懸念しているほど物価上昇に繋がらないかもしれません。
やはり米国の物価は、こちらで記事にしているように、再低下を始めるのが既定路線だと思うので、とりあえず数字に目立つ変化があるまでは目線を変えずに行ってみます。
ただし一時的に影響が出たりすると金利が跳ねたりする危険があるので、3月分4月分の生産者物価など、影響を受けそうな指標は注目したいですね。
CPIの今後の予測については、ぜひこちらのリストも参考にしてください。
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