今日はこちらの記事でまとめた物価の先行指標を改めて全てチェックしてみました。
インフレ先行指標
インフレナウキャスト
クリーブランド連銀のインフレナウキャストによれば、4月4日更新時点の3月分(4月公表)の前年同月比CPIが2.49%、4月が2.55%と推定されています。PCE価格指数は3月が2.25%、4月が2.26%です。コアPCE価格指数は2.68%と、2.64%です。※Cleveland Federal Reserve, Inflation Nowcasting, https://www.clevelandfed.org/indicators-and-data/inflation-nowcasting
グローバルサプライチェーン圧力指数(GSCPI)
ニューヨーク連銀のGSCPIは、3月でマイナス-0.18です。ゼロ以下なので上昇圧力はほとんどありません。※New York Federal Reserve, Global Supply Chain Pressure Index, https://www.newyorkfed.org/research/policy/gscpi
輸入物価指数
こちらは過去5年間の輸入物価指数の前年比変化率で、ぱっと見2.5%近く見えますが確認したところ約2%となっていました。つまり物価2%程度の上昇圧です。
生産者物価指数(PPI)
こちらはPPIの5年間の推移です。こちらは約1.9%です。
家賃インフレ
こちらは家賃の前年比変化率です。家賃はCPIへの影響が大きい上になかなか鈍化してこなかったため、この数年の長い物価上昇で最も足を引っ張っている要因でした。直近でもまだ4.1%ほどありますが、鈍化傾向となっています。
サービスインフレ
こちらは家賃も含まれるサービスインフレの推移です。これも4.1%ほどあります。簡単に言えば4兆ドルにまで膨らんだ金利+配当収入や、物価を大幅に上回る賃金上昇、そして激増した移民流入が、輸入物価やPPIなどが落ちても、家賃やサービスなどの価格を押し上げていたと考えられます。
しかし、これも鈍化傾向となっています。
CRB指数
商品先物の総合指標であるCRB指数は、12月の水準まで急落しています。この3~4か月の物価上昇は、一過性のものや鳥インフルエンザの卵不足などを除外すると、個人的には燃油の価格上昇などが影響していた印象があります。そのためCRB指数や原油などが落ちてこないと良くない状況でしたが、世界の景気失速懸念で落ちました。
以下はブルームバーグに掲載されてる同指数のリンクです。
https://www.bloomberg.co.jp/quote/CRY:IND
ネット通販の価格を見てみた
簡単ですがネット通販の価格調査をしてみました。
調査はcamelcamelcamelで行い、以下のメーカーの製品をざっくり調べました。ただし、そのメーカーのサプライチェーンがどのようになっているかまでは把握できていないのでご了承ください。
メキシコ
Corona(コロナ)
Herdez(エルデス)
Nielsen-Massey(ニールセン・マセイ)
La Costeña(ラ・コステーニャ)
中国
Anker(アンカー)
Xiaomi(シャオミ)
TP-Link(ティーピーリンク)
Lenovo(レノボ)
他にもカナダ産の食品などいろいろ見てみたのですが、たしかに最近急に上昇しているものもありました。おそらくそれは関税の影響だとおもいます。また、コロナビールなどは在庫がほとんどなくなっているので、消費者が値上がり前に買い占めているようです。
しかし、ほとんどの商品は現時点で価格転嫁は起きていないようです。
まとめ
先行指標、あるいは物価に影響する経済指標で見れば、米国の物価に強い再上昇圧力がかかっていないのは明らかです。また、経済失速懸念でCRB指数などが急落しているため、様々なものが下落していきます。
そう言う意味で、関税による物価上昇はある程度相殺されると考えられます。
一方で、既に輸送中の貨物は5月末まで到着分に猶予期間もあるようなので、指標に出始めるのは遅れます。(5~6月以降か)また、かなり広範な関税が発動されたので、もし価格上昇が起き始めたら関係ない企業まで口実にして値段を引き上げる可能性があること。こういった点には警戒を続けたいと思います。
指標上はまだ物価は鈍化を示しているのでそういう見立てを維持しますが、何か変化が起き始めたらまた記事にしたいと思います。
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