米国のリセッション予想に3年間翻弄されなかった理由まとめ

2022年から米国経済が後退するという分析は数多くありましたが、2025年2月1日現在まで僕は経済指標を根拠にほぼ100%株式で保有し続けてきました。

この記事ではニュースやSNSで言われてきたリセッション予想についてどう考えていたかをまとめてみます。

 

2022年~

インフレでリセッション

米国CPIに時差6か月ほどで影響するGSCPIや、中国PPIなどが年初からめちゃくちゃに低下し、この年の6月の暴落時にはインフレのピークが目前なのは確定していました。

夏には天然ガス等の下落が起き、秋には最後に残っていた家賃の上昇も先行指標でピークアウトが示唆され、夏、秋、共に暴落が買いとなりました。

また、下半期に入ってからは賃金の強さが目立ち、それに合わせ小売りが強い現象が起きていました。労働市場もリセッションを示唆していませんでした。インフレの鈍化が確定していた事と、消費と雇用の底堅さを確認できたことで、深いリセッションは現実味が無かったです。

ちなみに2022年の上半期はリセッションしたと思われてますがしていません。

当時はテクニカルリセッションが発生したと考えられていましたが、これは正式なリセッションとは扱われません。さらにGDPの上方修正が起きテクニカルリセッションすらなかったことが後にわかりました。

 

1970年代の再来でリセッション

1970年当時と現在とでは状況が違いすぎます。

インフレを現実にするのは、あくまでもインフレに影響する先行指標であり、過去のチャートは関係ありません。

 

2023年~

銀行危機でリセッション

シリコンバレー銀行など当時破綻した銀行は、預金保護対象ではない顧客層が多いなど、特殊な条件があり、米国株は全く下落しませんでした。(日本株だけなぜか翌日に下落しています)

それでも金融環境が引き締まる懸念はありましたが、金融ストレス指標はすぐに低下し、FDIC(連邦預金保険公社)のセーフネットも強力に機能しており、現実的にはシステミックリスクの危険はありませんでした。

 

逆イールド、逆イールド解消でリセッション

相関はあっても強い因果関係はないので、根拠になっていません。本質的には経済の引き締めによって、経験的に景気後退するという話です。つまり、金融ストレス指数関係が大幅にマイナス(金融環境が緩い状態)で、銀行融資なども順調に増加するなかで、これがリセッションのきっかけにならないのは当然です。

 

コロナ貯蓄枯渇でリセッション

2兆ドルのコロナ貯蓄が枯渇しても、米国人は毎年4兆ドルの金利配当収入があります。これでリセッションと言っていた方は専門家でもいましたが、資産規模から考えておきないと考えました。

 

巨額未実現損失でリセッション

放置すれば解決する問題で危機を煽るのは現実的ではないです。

ただし、米国債が暴落したためこの類の損失が膨らんでいることは事実です。これは銀行経営がうまくいかなくなった際に未実現ではなく実現損になるリスクがあります。また、取り付け騒ぎには弱い状況なので、注意しておく必要はあります。

 

バランスシートが縮小しリセッション

M2が伸びているので問題ありません。

 

2024年~

貯蓄率低下でリセッション

貯蓄率は夏に上方修正され2年前より増加しています。しかし、上方修正される前から、賃金上昇率などを見ていれば、懸念する必要がないとわかりました。

 

求人数と株価の乖離は米経済の弱さ

持続不可能な異常にタイトな雇用レベルから持続可能な雇用レベルに回帰していたのですから、求人数と株価が乖離するのは当然です。

 

雇用者数大幅下方修正でリセッション

年次改定のデータベースから、法的ステータスを持たない移民労働者が除外されたりする(この見解には異論もあります)ため、実際には働いているのに下方修正しすぎている可能性が指摘されています。また、そもそも下方修正された数字でも、リセッションするほどの少なさではありませんでした。

 

銀行の倒産でリセッション

オクラホマの地銀が昨年の秋ごろ破綻したました。youtubeではこの問題を取り上げ、景気後退や米国経済の崩壊が始まるか?と言った解説を見ましたがあり得ないです。あまりにも小さく、FDICの預金保護も十分に機能しており、全く無風でした。

 

商業用不動産でリセッション

個人的には以下のように認識していました。

・大銀行の融資比率などから考えて現実的ではない

・引当金を十分に積んでいる

・LTVが50%~60%で融資されている

・商業用不動産ローン融資の審査を厳しくする銀行の比率が減っている

・当初予想された数の銀行破綻が起きていない

・オフィス不動産はデフォルト率10%以上でも、全商業用不動産ローンで見れば2%弱ぐらい。

・リスクが高い一部の商業用不動産ローン担保証券と話が混同されていた。

 

カードローンの延滞率の増加

インフレは低所得者中心に打撃を与えているので、カードローンの延滞だけ見ても全体像はわからないです。実際、住宅ローン、事業ローンの延滞はさほど上昇していません。また、カードローンの延滞率上昇は概ね止まっており、水準的にも歴史的にも高くありません。

その他、平均~中央値世帯の米国の家計は、健全であることを示すデータの方が多く、リセッションに陥る要素はありません。

 

ホームレス増加は経済の弱さ

総数77万のホームレスが、米経済の弱さとして伝わっていましたが、一年で増えたのは12万、国民の0.036%ぐらいです。

これは名目GDPのインフレ分にすらなっていないし、雇用者数200万の増加の方が圧倒しているので、経済全体の萎縮には到底結びつきません。

 

サームルールでリセッション

移民流入数が大幅に増加していたため、失業率が増えても労働者は前年比で増えます。そのため、失業率だけで測定するサームルールは外れると考えました。

移民の影響で公式データを補正する視点は、2024年のアメリカ経済の分析で最も重要な視点で、これが出来ていない方は、経済の強さに矛盾ばかり感じていたと思います。

 

雇用が政府雇用ばかりで景気失速

雇用統計で単月の季節調整なしのデータを見ても全体の姿はわかりません。この分析は全く価値を持っていませんでした。

この分析でXを賑やかにしたのは某保守系メディアなのですが、情報発信元が政治的思惑を持っているかどうかは無視できない点です。政治的思惑がある場合、例えばバイデン政権を悪く言う意図があるので、都合よく数字を切り抜いてる可能性がありました。

この話題は大統領選直前ということもあり、政治的思惑による分析の典型例でした。

 

雇用の減少傾向でリセッション

youtubeでは労働市場の変化をパーセント変化で語っている専門家もいますが、こういう方は持続可能な労働市場へ回帰する状況では、実体を全くとらえられないので注意してください。

さらに、不法移民労働者は一部の雇用関連指標に正しくカウントされません。そのため不法移民が激増したこの数年、米国の雇用は数字よりも強い状態でした。

 

まだあると思いますが、概ねこんな感じです。

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