今日はゴールドについてです。
個人的にはゴールドは素晴らしい資産だと考えていますが、少し投機的側面も強くなってきたと思います。正直今はどこを見てもゴールドに強気なので、中立的な意見を書いてみようと思います。
ゴールドが優良資産な理由
理由1 中銀が買う
外貨準備として世界各国の中銀が買っています。
例えば豊トラスティ証券の資料によると、中国は長期にわたってゴールドを積み増しており、特に2022年末からの増加ペースが強いです。
また、ロシアは2007年ごろから急激に積み増すようになり、現在も少しづつ増やしています。
他にもトルコ、ポーランド、インド、シンガポールやイラク、タイなど、多くの国が積み増していますが、10年分のデータを見ると、やはり中心的なプレイヤーは中国とロシアの中銀です。
理由2 供給量が限られる
この10年ほどの金鉱山生産量は年間3,000トンぐらいで安定しています。海底にはまだ大量にあるそうですが採算が合いません。つまり底堅い需要に対し、供給が渋い特徴があります。
ただし色々なデータを見ていて思いますが、3,000トンという供給はあくまでも「渋い」程度です。
理由3 インフレ資産
ゴールドそのものは何も価値を生み出しませんが、インフレ資産であるため少しづつ価値を上げる性質があります。インフレ資産である限り長期的に上昇していく可能性が高いです。
次に最近の動向を振り返ります。
米国10年債との逆相関が崩れたゴールド
ゴールドは一般的に米国10年債実質金利と逆相関だと言われます。
調べてみると時代によって相関が崩れたりハッキリしない時期もあるのですが、最近で言えば2018年から2022年ごろは逆相関でした。 ところが2022年春から突如としてこの関係が崩れ価格が上昇していきます。
この上昇の引き金はロシアへの資産凍結である可能性が高いです。
調べてみると2022年の2月28日に米国、3月2日にEUが、ロシア中銀の資産を凍結しています。ロシア中銀の資産を凍結するというのは、日本で言えば日銀に預けられたロシア中銀の外貨準備用の円を自由に売却できなくするということです。
つまりゴールドの10年債との逆相関が崩れ始めたのとほぼ同じタイミングで、ロシアは外貨準備を大規模に凍結され、代わりにゴールドの備蓄を増やしました。実際にロシアは2022年春から20トンほどですが急に買い増しています。
目を覚ました中国
ウクライナ戦争で外貨準備が凍結されるという衝撃は、ロシアよりも中国を動かしました。
最初に紹介した豊トラスティ証券の資料によれば、中国は2022年秋から200トンほど急激に買い増しています。
ロシアへの資産凍結によって、米国の敵国においては「米債で自国通貨を守れない」と意識するようになったと僕は考えています。
注意したい事
ゴールドは金融危機で初手は売れられる
ゴールドはヘッジ資産だと思われがちですが実は大きな金融危機が起きた際、初手で売られることがあります。例えばリーマンショックでも最初は売られ、パンデミックも長い下髭を付けています。
これは追証などを清算するためにゴールドを現金化する動きがおきるためだと考えられます。ゴールドを普段持っていない人は、危機の際にゴールドの下落を待ってから買うのもいいかもしれませんね。※ただし為替がどちらに動いてるかは注意です。
中国とロシア中銀の買いは定期的に止まる
ゴールドを2,300トン保有する中国ですが、米国は8,000トン以上持っているので、超長期的にはあと6,000トン積み増したいのが中国の本音だと思います。
これはロシアも同じような状況です。
ただし中国とロシアの買いは、長期間止まることがあります。
今後も外貨準備として買っていくとしても実際には買いが止まる期間があり、ハッキリとはわかりませんが最初の資料を見る限り中国の爆買いはすでに終わった可能性があります。
そうなると今のゴールドの上昇を支えているのは、米債の信用リスクを懸念する投資家や、いずれ売る投機的プレイヤーの買いです。
ゴールドは低迷期間が長い
長期チャートを見ると上昇に対して下落がきつく低迷が長いです。
これはゴールドの特性であり、ゴールドは自分自信で価値を押し上げることができないため低迷となると高値更新に長い期間を要します。
まとめ iLe的ゴールドの向き合い方
以上のことを考えると、ゴールドはインフレ資産の特性と需給の関係から長期的な価格上昇は続くと思います。
しかしゴールドはあくまで投機の対象です。
下げる時はきつくその特性から長期低迷になりやすい資産なので、短期的には中銀の動向、特に中国中銀の動向がハッキリしないときの過剰な強気は禁物です。
もしゴールドを長期視点で買っていく場合、個人的には値を強めに下げたときにポートフォリオで最大8%ぐらいを目指して少しづつ保有していくのが手堅いのかなと思います。
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