米国労働省の資料によると、3月8日までの週の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は22万件となり、修正されたその前の週から2000件減少しました。
また、3月1日までの週の継続失業保険申請件数は187万件で、その前週の189万7000件から減少しました。
レイオフを控える余裕がある
米国経済の最近の状況にしては今回も良かったという印象です。
日付的にはあと一回は特に用心したいですが、現時点でも関税懸念の中で企業がレイオフを控えてることがわかります。
また、これは先日書いたNFIBビジネス楽観指数の記事にも共通していますが、採用がインフレを抜いて最大の問題になりつつあり、そのためレイオフを控えているという側面もあると思います。
逆に言えば人手不足を懸念しレイオフを控えていられるぐらいの失速ということです。
経済指標の解釈が難しくなる
今後は、経済データをより適正なウェイトで見ていくことが大切になると感じます。
昨日もお伝えしたように米国の成長率は今後、労働人口の急減で減速していく可能性が高いです。でもみんなが一斉に消費を控えたり、融資を控えたり、そういう姿とも違います。
この状況は指標の解釈を難しくします。
特に人手不足は一部の雇用関連指標、例えば失業率などを強く見せますが、なぜか雇用者数は弱いなど矛盾が起きると考えられます。
どういうことかと言うと、失業率の元になる世帯調査は移民のカウントが正しく出来ていないと言われており、その結果移民減が起きても失業率は意外と強く出ます。しかし移民のカウントが相対的に正確な事業所調査から公表される雇用者数は、しっかりと減速していくのです。
こういう矛盾は、他にも小売り統計や、求人数などでも、失業率に対してなぜか弱い(小売りの場合)、雇用者数に対しなぜか強い(求人数の場合)などが起きると思います。
そして一斉に悪化する状況と違い強弱混在になりやすいです。
今回取り上げた新規失業保険申請も、人手不足でレイオフを控える傾向が強まると、成長の鈍化に対し悪化しにくい可能性があります。
この辺のウェイト付けを意識しながら今後も追跡していこうと思います。
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