ダラス連銀によると6月のテキサス州製造業展望調査の結果は次のようになりました。
概要
※主なものを抜粋しています。
指標 | 6月 | 5月 | 前月比の変動 |
---|---|---|---|
生産 | +1.3 | +0.9 | +0.4 |
稼働率 | -1.0 | -1.5 | +0.5 |
新規受注 | -7.3 | -8.7 | +1.4 |
受注の伸び率 | -17.2 | -16.4 | -0.8 |
未約定注文 | -12.1 | -9.3 | -2.8 |
出荷 | -7.3 | +0.5 | -7.8 |
雇用 | +5.7 | +3.5 | +2.2 |
労働時間 | -8.4 | -3.6 | -4.8 |
原材料の価格 | +43.0 | +40.7 | +2.3 |
調査から読み解くポイント
製造業活動は全体的に減速傾向です。
生産は微増したものの、新規受注や出荷がマイナスに転じ、受注の伸び率や未出荷注文も減少しています。これにより需要が鈍化している様子が見て取れ、さらに関税騒動の失速からあまり回復していないことがわかります。
また、原材料コストは依然として高い状況で、原材料価格の指数は+43.0(シリーズ平均27.3)と高水準を維持しています。しかし、新規受注等の減少は価格転嫁の難しさを生んでいると考えられ、これは利益率を悪化させます。
他に気になる点としては雇用が増えているのに、労働時間が減少していることです。
採用は続けているものの、一人当たりの労働時間が減少していると思われ、これは米国経済が見通せない中で柔軟な勤務体制に移行している可能性があります。
担当者コメントより
やはり「様子を見ている」「関税が決まるまでは動けない」といった趣旨のコメントがいくつかあります。また、製品価格が上昇しているとの声があります。
まとめ
関税の延長でも、ビジネスはあまり回復せず停滞しているようです。
こういった状況は大統領選挙前など大きなイベントの前にも見られますが、去年同じ状況で良かった6か月見通しも、今は良くありません。
そして雇用関係のデータからは、企業は仕事量に応じた必要な人材以上の従業員をまだキープしているように感じます。この事は経済の失速が意識され始めたとき、従来よりも雇用指標の悪化は早く、強くなると考えられます。
この状況を変えるとしたら利下げであり、やはりFRBはマーケットが考えているより利下げに動きやすいように感じます。
ただし、中立的に考えるならば、この指標は前月比で比較するので、数字が実体より強く変化しているように見えます。また、製造業はGDPの10%しか割合的に無いので、悪化を極端に懸念する必要はありません。
製造業調査を踏まえて、同連銀のサービス業調査にも注目していきましょう!
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