まず先に6月のS&PグローバルPMIと、ISM非製造業景況指数を確認し、続いてダラス連銀の調査を分析していきます。
強弱混在でも低下傾向
6月のサービス景況感は指標によって違いがありました。
S&Pグローバルの確報は低下、ISMは強めに改善しています。推移は以下から確認できます。※Tradingeconomics.comへのリンクです。
二つの調査は結果が矛盾することはよくあるため、傾向を把握することが重要なのですが、昨年のQ4あたりから悪化傾向です。
その一方で50を上回っていますね。
つまり減速しつつも拡大基調であり、リセッションまではいかないという見通しはまだ維持していいと思います。
ダラス連銀 テキサス州サービス業&小売業見通し調査
ダラス連銀によると、6月の結果は次のようになりました。()は前月です。
サービス業
収益 -4.1 (-4.7)
雇用 -1.2 (-0.2)
パートタイム雇用 -1.7 (-0.7)
労働時間 0 (-1.2)
販売価格 +6.8 (+5.2)
6か月後の収益見通し +33.4 (+27.2)
省略しましたが過去(一定期間)の平均値よりも悪化している項目が多く、前月から見てもやはり減速傾向です。ですが6か月後の見通しはやや改善しています。
小売業
販売 -29.5 (-30.5)
雇用 -9 (-8.1)
パートタイム雇用 -4.9 (-3.6)
労働時間 -14.1 (-3.8)
販売価格 +14.1 (+5.2)
6か月後の販売見通し +19.1 (+13.7)
こちらも全体的に減速傾向なのですが、6か月後の見通しはやや改善しました。
アンケート
今回はアンケートに注目です。
例えば雇用が逼迫でも面接プロセスが長期化しているとの声があり、採用に迷いが感じられます。また、消費者が相対的に支出を食品へ回すので、うちにこないという娯楽関係の声がありました。ビールやたばこ業界では、支出を抑えているとの声もあります。
採用担当者や消費者の慎重姿勢が読み取れますね。
不確実性については強い不満を漏らす声もありますが、影響がまだ評価できない、あるいは状況は安定しているとの冷静な声も聞かれます。
注目なのは、土地開発やエネルギーインフラ、データセンターで、過去最高クラスのプロジェクトが開始されているとのポジティブなコメントも見られました。
まとめ
米国のサービス業と小売りは、減速傾向が続いているようですが、マイナス成長になるほどの悪化はまだ見られません。
アンケートからは、多くの企業が不確実性の高まりとコスト上昇を懸念し、ビジネスの停滞や消費者の慎重な姿勢も読み取れます。しかし関税などの影響がまだ小さい事への若干の困惑も感じられます。
おそらく関税などの影響が意外と小さいため、保留となっていたプロジェクトが一部で動き出していますね。
これが6か月見通しなどを若干改善させている要因かなと思います。
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