2025年第1四半期のGDP関連指標が出たので内容を見ていきます。
経済分析局(BEA)によると速報値で次のようになりました。
概要
前期比年率
実質GDP -0.3%
個人消費消費 +1.8%
前年同月比
PCE価格指数 +2.3%
コアPCE価格指数 +2.6%
個人可処分所得 +1.7%
個人消費支出 +3.3%
個人貯蓄率 +3.9%
※PCE価格指数の前月比変化は共にゼロ%でした。
GDP詳細
GDPに関するリリース詳細を見ていきます。
GDPがマイナス成長となった理由は、+41.3%というめちゃくちゃな輸入の増加で、純輸出が減少してしまいGDPの寄与に-4.83%も影響したためです。
また、個人消費支出も昨年のQ4が+4%だったものが1.8%となり、あまり貢献できなかったことも大きいです。ただし1.8%はそこまで悪い数字ではありません。意外と悪くないけどはっきりと減速した感じです。
こういったマイナス寄与や減速を、相殺したのが民間投資のようです。
企業は将来の関税によるコスト増を見越して、設備投資を前倒しで行ったようで、特にコンピュータや周辺機器などの機械設備投資が+22.5%(寄与1.06%)となっています。
PCE価格指数詳細
次は前年同月比のPCE価格の詳細です。
PCE価格指数は2月の2.7%(改定済み)から急低下して2.3%となっています。
エネルギー商品と電気ガスで構成される項目が-5%と大きく、景気失速懸念による原油価格の急落などが大きく影響していますが、商品とサービス価格もしっかり落ちています。
商品とサービス価格が落ちているのは重要かもしれません。
ダラス連銀のサービスと小売りの展望調査、S&PグローバルPMI、FRBベージュブックなど、いくつかの調査は最近価格の上昇を示唆していますが、少なくても3月の実態では上昇していないということです。
PCE価格指数はCPIよりも実体に近いのでそういう意味でも物価面で少し安心できそうな内容です。
その他 見解など
個人可処分所得と、個人貯蓄率はそれぞれ1.7%と3.9%でした。
ゆっくりと鈍化していますが持続不可能なタイトすぎる労働市場が続いていたので減速は自然なことです。
この数字自体も悪くなく、現状の実質賃金を考えればこういう数字はなんだかんだで底堅さを維持すると思います。
そのため、前年同月比で見れば個人消費支出もしっかりしていますね。
つまり昨日記事にしたリセッションのチェックリストだけでなく、こういった側面から見てもマイナス成長にはなりにくいと思います。
ちなみに、欧州株が今年見直されていますが、欧州も実はインフレの鈍化で実質賃金がプラスになり始め、それに伴い小売りなどが改善、GDPが改善という経緯を踏んでいます。2022年の米国の下半期も、実質的な賃金データが改善し始め小売りなどが好転していったのを僕は見ていました。
なので、減速傾向であっても、米国経済はまだ拡大基調を続けると考えられます。
そんなことを思うGDP関連指標でした。
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