米国の雇用者数は月2.5万まで落ちる可能性

米国内からの不法移民の強制送還のペースが判明してきました。

 

強制送還のペースは現在一日800人

CBSニュースのこちらの記事によると、ICE(移民税関捜査局)は1日800人のペースで強制送還を続けているようです。

 

これは年間で約15万人のペースですが、数は加速しています。

 

2025年2月と3月のICEの記録に基づくダラス連銀の推計では、一日平均は243人とされていました。(関連記事)←後半にまた参考にします。

 

そして強制送還のための予算も、前例のない規模で増額されているため、まだまだ加速すると考えられます。

 

最低でも残り6か月を倍として30万、加速して50万ぐらいはいくでしょうか…

 

庇護等の入国はほぼないことも判明

CBSニュースの記事では、ICEのほかに、CBP(国境税関・国境警備局)も強制送還を進めており、その数は6か月で112,000件とされています。

 

CBPの強制送還数は、南部国境付近でのこの半年の遭遇数、117,955とほとんど同じです。つまりCBPは、南部国境付近で遭遇したほぼ全ての移民の入国を拒否していると推測できます。

 

そうなると僕が過去の記事で書いてきた目安から、7万程度「遭遇数の約半分が入国している(過去のデータより)」とした分が無くなります。(この件に関するまとめ記事はこちら

 

それを踏まえ改めて合算すると

・合法移民ビザ約60万は変わらず

・今回のデータをもとに修正した国境遭遇数からの入国がほぼゼロ

・誰にも見つからないGotawaysと呼ばれる入国がおそらく7万?程度

 

というわけで合計で67万程度であると推定できます。

 

そして移民ビザには家族も含まれるため、実質的には60万とかそのぐらいだと考えられます。

 

基調的な雇用者数の増加は毎月2.5万~1万程度まで落ちる可能性

移民の入国数合計 約60万

強制送還 年間30万人以上(最大50万も超える可能性あり)

 

米国は定年者数と20年前の出生数は概ねおなじぐらいですから、基調的にはこの2つの数を相殺して、年間30万人しか労働人口が増えない計算となります。もし強制送還が50万までいくならたったの10万ですね。(若い世代の「初」就労者の数がはっきりしないので、米国籍の純増の分で+-20万ぐらいズレてる可能性はあります)

 

つまり強制送還が増えて安定してくる1年~2年あとにはトレンドとして雇用統計の非農業部門雇用者数(NFP)は、毎月2.5万~月1万程度が見込まれます。(年間100万ならもちろんマイナスへ…)

 

実質GDPは2027年ごろ0.9%まで低下か

前半で引用したダラス連銀の研究によると、年間100万人の強制送還が実施されていくと、GDPは2027年にマイナス1.5%程度ベンチマークから押し下げられます。

 

ベンチマークは議会予算局の予測であり、2027年は1.8%の成長予想です。

 

つまり、1.8%から-1.5%で、成長率は0.3%まで落ちると解釈できます。

 

これは強制送還が100万のシナリオなので、単純に考えると年間50万人のペースであればこの落ち込みの半分、GDP成長率0.9%程度まで落ちるシナリオがあり得そうです。

 

インフレが安定していれば、相当な利下げ幅が実施されると思います。

 

強制送還数に要注意

ダラス連銀の研究記事には、この目安の信頼区間の設定は困難だと書かれており、この予測にどれほど実体が近づいていくかはわかりません。

 

しかもまだ2年もあります。

 

しかし今回の目安は、このブログで移民の逆算から予測してきた「雇用者数は月6万程度まで落ちる」という考え方と、同じ方法で試算しています。覚えている方もいるかもしれませんが、僕は雇用者数の激減が始まることを2月にはお伝えしていました。(関連記事 関連記事2

 

というわけで多少期間があっても一定の現実味はあると思います。

 

強制送還のペースには注意しつつ、何か変化に気が付いたらすぐにお伝えします。

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