米国 3月の消費者期待調査が出ました(2025年4月14日公表分)

米国の消費者の経済認識は3月に悪化しました。

 

ニューヨーク連銀によると1年後のインフレ期待(予想)は0.5%上昇して3.6%、3年後は3.0%で変化なし、5年後では0.1%低下して2.9%となっています。1年後に家計の経済状況が悪化すると予想する割合は30%に上昇しました。インフレ期待と家計の悪化予想は、2023年秋以来の高さとなっています。

 

1年後に失業率が悪化するとした予想は44.0%となり2020年4月以来の高水準、1年以内に職を失う可能性の平均認識は15.7%となり、2024年3月以来の高水準となりました。この上昇幅は世帯年収が5万ドル未満の回答者で最も大きい結果となっています。

 

インフレ期待

物価は先行指標や構成要素が上昇しその結果上昇するものですが、予想が上昇すると人々が高くても仕方なく購入するようになり実際の物価が引っ張られる力もあります。

 

そう言う意味で、インフレ期待は無視できないです。

 

しかし、このブログで繰り返しお伝えしている通り、物価の先行要因はまだ上昇ではなく下落基調を示唆(関連記事)しています。またトランプ政権1期目を調べると、関税が物価を押し上げた明確な様子は発見できませんでした。(関連記事 

 

1期目と規模が違う点などから今回は上昇することも考えますが、経済の落ち込みによる物価の低下圧力を経済誌は全く考慮しておらず、インフレ期待をそのまま受け止めるのは注意が必要です。

 

雇用期待

雇用期待も悪化しています。

 

しかし現状水準は2020年4月や、2024年3月と同等であり、そこまで悪いという感じは正直しないです。

 

また、トランプ関税は世界経済全体にマイナスですが、ここまで悪いと毎日強調されると逆に良い側面もバランスよく考える必要性を感じます。

 

例えば米国内での工場建設などを促す側面は確かにあるので失業率悪化が相殺される可能性があります。

 

さらに移民流入が激減しており今のペースだと2024年に比べ150万人以上減少すると考えられます。この事は米国経済にとって最も懸念すべき事ですが、皮肉なことにトランプ関税で失業しても次の仕事を見つけやすい状況にします。(2月の移民遭遇数に関する関連記事

 

以上から失業率が強く上昇する可能性は低いと思います。

 

家計

家計は二つポイントがあります。

 

ひとつは物価がどう反応するかです。

 

この数年のように賃金が物価を上回り続けるなら、家計の悪化は限定的となります。

 

もうひとつは株価です。

 

株価が-30%や-40%を目指さないことが大事です。

 

株価の配当収入は2兆ドル(金利と合わせると約4兆ドル)ぐらいあり、これはパンデミック時の家計への給付と同等の規模となります。

 

二つともまだ悪くない状況を継続すると考えられます。

 

総合認識

総合すると、消費者はトランプ関税の連日の報道などで、現時点で客観的に想定できることよりもかなり強く悲観しているように感じます。

 

消費者は物価が強く上昇し、経済も大幅に悪化する状況を想定していますが、この二つを両立させるのはSNSで言われているほど簡単ではなくエネルギー価格の上昇や異常なドル安なども重ならないと少し難しいと感じます。

 

関税は悪影響であることは間違いないですが、あまり先入観を持たず物価上昇やレイオフの状況を引き続き追跡していきます。

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