米国労働統計局によると、4月の消費者物価指数(CPI)は次のようになりました。
総合
前年比 +2.3%
前月比 +0.2%
食品・エネルギーを除くコア
前年比 +2.8%
前月比 +0.2%
では注目ポイントを見ていきます。
エネルギーと卵
3月CPIの記事でもお伝えしたように、米国のCPIはここ数か月、卵とエネルギーが落ち着けば普通に落ちてくる状況でした。
詳細を見ると、卵の価格が前月比で-12.7%となり、鳥インフルエンザの影響もかなり落ち着いてきたようです。
一方でエネルギー価格が前月比で0.7%上昇しています。
急落していたので反動として仕方ないですが、それほど強い上昇ではなく良好です。
家賃インフレ
ここ数年、米国のCPIの鈍化を妨げてきたのは、家賃(シェルター)とサービスインフレです。
特に家賃は先行指標に対し鈍化のペースが非常に遅く油断できない項目です。
今回は前月比で0.3%となり3月の0.2%から加速しました。
前年同月比も4%の強さを保っています。
ただし、詳細を見ると、家賃そのものの項目は2月、3月、4月と0.3%のままです。
つまり12か月分にすれば3.6%ですから、家賃(シェルター)の価格は着実に4%以下を目指しています。
帰属家賃の前月比が0.4%となり、この項目は寄与度が大きいので、こちらがシェルターの項目を押し上げたと推測できますが、帰属家賃は実際には存在しない項目なので、過度に気にする必要はないと思います。
余談ですが、実施には存在しない帰属家賃の寄与度が大きく、これが数字上のインフレ率をけん引してきた背景がここ数年あったのですが、逆に考えれば米国の実質賃金は数字よりも強かったということです。
僕が2022年から今年の2月中旬までずっと米国経済にめちゃくちゃ強気だった背景には、こういう理由もありました。
サービスインフレ
特別集計を見ると、サービスインフレは3.7%となりました。
家賃とサービスインフレの前年比の鈍化が両方とも、一時止まった形になっています。
この二つは去年まで、米国が強いことを考察できた隠れた指標でした。
その背景にあるのは移民流入だと僕は考えていますが、今移民が全く流入しなくなっていてもこの二つがまだ強さを保ってるのは、米国経済にはまだ底堅さがあることを示唆しています。
※一応、家賃とサービス価格の前年比鈍化が停滞したのは久しぶりなので、見解そのものはこのまま変えずいきます。
家賃以外では2%の物価目標を切っている
一方で、特別集計のシェルター以外の総合を確認すると、前年比1.4%となっています。
つまり、家賃を除けばもうFOMCが目標にしている物価上昇率2%は切っているわけです。
こういうことを、1970年代のインフレの再来と言ってきた人はほとんど気が付いていないと思います。
全体を通じて
今回のCPIは、サービスや家賃など米国経済の強さを象徴していた物価は強さを維持し、それ以外はしっかり落ちついていることがわかる結果でした。
こちらで紹介したように、関税のコスト増は1か月以内に価格転嫁するとした担当者が約半数おり、それを含む77%が3か月以内に転嫁すると答えています。
なので、今回の結果を受けて関税による物価上昇は限定的になるとのこのブログの見解を維持します。
引き続き5月分にも注目していきます。
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