関税の影響はどうなったか注目のCPIです。
概要
米国労働統計局によると、5月の消費者物価(CPI)は次のようになりました。
総合
前月比 +0.1%
前年同月比 +2.4%
食品とエネルギーを除くコア
前月比 +0.1%
前年比 +2.8%
※みんかぶサイトの情報では予測値より全て低い結果です。
関税の影響は限定的
詳細リリースを確認していきます。
まず表2を見ると、前月比で衣服が-0.4%低下し落ち着いているようです。その他コンピューター周辺機器が前月比+1.1%と、4月の0.7%から加速していますが、これだと12か月でも10%ちょいなので、それほど強い上昇にはつながっていないですね。
スマートフォンも中国で組み立てるようですが下落しています。
つまり中国から輸入される代表的製品の価格転嫁があまり起きていないことがわかります。
5月の上昇は穀類製品などが影響
逆に上昇が目立つものは食品でした。
特に穀類製品の価格上昇(朝食用シリアルが前月比+2%など)が全体的に起きています。
ただし、前月比で食品がこれぐらい変動することは普通にあるので、前項と総合すれば新たに物価上昇が始まっていくような兆候は感じ取れないです。
次に物価全体に長期的に影響しているものを見ていきます。
家賃
CPI全体に35%も影響するシェルター(家賃など)をみていくと、前月比で+0.3%、前年同月比で+3.9%とまだ強いです。
しかし、純粋な家賃そのものは前月比で0.2%と、4月から0.1%低下しました。
最近は0.2%~0.3%なので、年間で3%を目指していく感じです。
政府CPIの家賃の先行指標と考えられる新築家賃価格を別に調査していても、ゆっくり鈍化しているので、引き続き家賃価格は落ちていくと思います。
つまりこの時点で、CPIの根底には鈍化圧かずっと続いており、それは変わっていません。
ちなみに特別集計を見ると、「シェルター(家賃など)を除くすべてのアイテム」の項目では、この一年で+1.5%となっています。
全体を通じて思うこと
まとめると
・関税の影響を受けやすい製品があまり価格転嫁されていない
・一部の食品価格の上昇も一時的と考えられる
・家賃の鈍化傾向は続く
となります。
今回のCPIを受けて、6月分の上昇がやや強めにでていたクリーブランド連銀のインフレナウキャスト(インフレ予測)も、2.67%から2.61%へ下方修正されました。
インフレナウキャストは、ブレント原油スポット価格と、週次ガソリン価格が高頻度で影響しているのですが、その他はCPIなどの詳細情報から「傾向」を捉えて予測する指標です。
この修正も合わせて考えると、強く物価が上昇していく兆候はほとんどないと考えるのが客観的見立てです。
この見解はインフレ予測のリストをチェックしても同じ結論になります。
6月もやや上昇するとは思いますが、これはインフレの「ありがちな波」の側面が強く、このブログでは引き続き物価上昇は限定的とのスタンスを維持していきます。
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