また月初になってもーた。
いつものようにこちらのリストをチェックしますが、今回は念のためリストにない指標もたくさん見ています。
労働市場
新規失業保険申請が、この5か月ほどやや増加傾向、ボトムの切りあがりが見られます。
少し注意したいですが、直近の上昇は季節調整が最適化されなかった可能性や、トレンド検索との関係(後述の「その他」の項目で記載)もあり、まだ様子見で良いと思っています。
継続失業保険申請は2021年11月以来の多さ、でも数としては少なめです。
非農業部門雇用者数(NFP)は前年比で+1.2%付近とまずまずの水準をキープ、全労働者労働時間もこの1年増加傾向でした。
週平均労働時間は長年減っていますがこの1年で特別大きな減少はありません。
Q1の生産性は前年比+1.4%になっているのでこれも悪くないです。(ちょっと弱いですがブレ幅の範囲)
金融環境
金融環境はセントルイス連銀の金融ストレス指数も、シカゴ連銀のANFCIも、超良好です。
市場はかなり緩和的で、リストにないですが銀行信用の伸びもこの1年増加しているため、資金繰りは厳しくなってなさそうです。
過去の例で言えばANFCIが今ぐらい緩和的な状況で、リセッションすることはありません。
複合指標
平滑化された景気後退確率評価の僅かに上昇していますが、リセッションはあと10倍以上上昇します。
GDPギャップが低下しています。
これは物価により鈍化圧がかかることを示していますが、行き過ぎるとリセッションします。長い間インフレが続いていたので、今回はもうしばらく様子見でも良いかなと僕は思います。
アトランタ連銀GDPnowは輸入増で大幅悪化していた分が回復して大幅なプラスになっています。
NY連銀のGDP予測であるWEIも波はあるものの、水準は上昇傾向であり、つまりリセッションを示す状況にありません。
反動で輸入が減ると、GDPnowが異常に良くなる可能性があるため(というかもうなってる)、輸入が影響しにくいWEIをしっかりチェックしていきたいですね。
その他
地下鉄利用者数
良好です。
チャートに反映されていない数字を見るとこの数年で最多水準です。
鉄道貨物
去年よりやや良好です。
フライト数
去年と同じぐらいです。
商用フライトは去年よりやや多いのですが、これは鉄道貨物と同じで最近の輸入の急増などが影響している可能性があります。
つまり消費者マインドの悪化による減少が、商用フライトの増加で相殺され、全体が同等になっていると考えられます。
トレンド検索
「失業保険(Unemployment Insurance)」の検索頻度は、4月1週目から明確に減少傾向であり、雇用は堅調なようです。
この分析はなんとなく考えたやり方なのですが実際に使えるみたいで、失業関連の検索が1%増加すると、新規失業保険申請件数が0.4%増加することがわかりました。(シカゴ連銀の関連記事)
つまり、直近で失業保険の検索が減少してるので、新規失業保険申請件数の増加をそこまで心配しなくていいかも?
まとめ
強弱ありますが全体としては底堅いです。
去年まで「リセッションなんてするわけねえです!」と言いまくっていたノリは終わり、しっかり警戒はしておきたいですが、まだ後退まではいかないと思います。
ただし政府雇用統計はここ数か月ブレが激しく、実体はもう少し悪い可能性もあります。今日の見立てを意識しつつ水曜(ADP雇用統計)と金曜(政府NFP)に注目したいです。
※雇用関係の具体的数字は米国労働統計局のデータを基にしたFREDの資料を引用しています。
コメント