米国 5月の生産者物価指数(PPI)を見ていきます(2025年6月12日公表分)

米国労働統計局によると、5月のPPIは次のようになりました。

 

概要

最終需要 総合

前月比 +0.1%

前年比 +2.6%

 

食料、エネルギー、貿易を除く最終需要

前月比 +0.1%

前年比 +2.7%

 

その他に詳細を見ていきます。

 

食品とエネルギーを除いた完成品

前月比+0.3%でした。こちらは家電・日用品・衣類など、対中輸入が多い完成品を含むカテゴリです。

確かに前月比にしては若干の強さはありますが、PPIでこの程度であれば、数か月後のCPIにはそこまで上昇はしないと考えられ、影響は小さそうです。

 

民間資本設備

工場用機械やコンピュータなど、設備投資に関わる品目で、中国からの輸入が多い項目です。前月比+0.4%と確かに上昇していますが、これも急激な伸びには見えないです。

 

中間需要向け加工品

プラスチック部品、化学素材、金属部材など、製造工程で企業が使用する素材全般のカテゴリーで、関税ショックの最初の反応がここに表れやすいのが特徴です。

1月 +1.0

2月 +0.4

3月 -0.1

4月 +0.3

5月 +0.1

という感じで、2月と4月に素直に反応していますが、5月は落ち着いています。

 

総合的に判断して

前日のCPIに続きPPIも、関税による物価上昇が限定的だと示唆しています。

 

PPIはCPIに影響するまでにはラグがあるため、今の段階でPPIがこの程度であれば今後も影響は大きくありません。ちなみに関税は輸入物価には反映されません。

 

米国インフレタグで長くお伝えしてきたインフレ再燃論に否定的な見解は、当たったと判断していいと思います。

 

一応イランへの攻撃があって、原油価格が急騰しているのと、インフレの波の影響で上昇しやすい期間に入っていると思うので、6月分のCPIは上昇するとは思いますが、関税の影響とは切り離して考えておきたいですね。

 

関税の影響はほとんど答えがでてきたので、そう遠くない将来、FOMCの理事から利下げを示唆する発言が出始めると思います。

 

今後は、米国経済がどの程度のペースで弱くなっているのか、どこまで弱くなるのか、そういった点に注目していきます。

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