米国労働統計局によると4月の結果は次のようになりました。
非農業部門雇用者数(NFP) +177,000人
失業率 +4.2%
平均時給前年比 +3.8%
平均週労働時間 変化なし
週総労働時間指数 +0.1
雇用者数について
17万7千の雇用増となり、とりあえず安心です。
12か月で212万以上になる計算なので、これが続くなら米国経済は強いです。
次のチャートは1年間の推移です。
米国の労働市場が底堅いことがわかります。
ただ、3月が22万8千から18万5千へ大幅下方修正、2月も下方修正され10万2千人となりました。今回の分も下方修正される可能性は注意したいです。
失業率は来月も上がりにくい
失業率を細かく計算すると、4.18%でした。3月は4.15%です。
前回記事で指摘したようにギリギリ4.2%となっているので、次回もまだ上がりにくいです。
むしろ下がる可能性の方が高いかもですね。
また、民間労働力(就業者+失業者)、就業者数、共にしっかり増加しているので、労働人口のパイという側面から見て4月は拡大する余裕があったことがわかります。
ADP雇用統計とのずれ
直前のADP雇用統計は大幅に悪化しました。
ADPとNFPがずれる原因はむかしから話題になることがありますが、完全に説明することは難しく、結局それぞれ1億以上の労働人口を推定するものなので数万ぐらいずれると思っておくのが無難です。
でもあえて説明するなら、おそらく自営業と企業の増加が影響していると思います。
NFPのサンプル調査は自営業や起業が増える時に、そこから生まれる雇用を多く推定してしまう傾向があります。去年の夏の約80万の下方修正の原因のひとつがこれです。(大きな理由は二つあり、もうひとつは法的ステータスを持たない移民労働者のカウント漏れと考えられます)
こちらは高傾向(給与支払いを伴う可能性が高い)新規ビジネス申請数推移です。
高傾向ではなく、普通の起業も含めればこの3倍ぐらいあります。
ADPは給与計算を委託する企業だけですから当然、新しい起業による雇用増の傾向とは差があると想像でき、最近また起業が急増しているので、この辺が影響してるのかなと想像します。
簡単に言えば、NFPはまた下方修正されると思います。
詳細確認
その他、詳細を確認していきます。
表1を見ると、『経済的理由によるパートタイム』の数があまり変化しませんでした。これは会社の都合などでパートにさせられてしまう人が増えると増加します。
いつもお伝えしているように、企業は先行きに不安があってもレイオフを控えていますから、おそらく本格的に経済が悪化していくならこういった数字が先に増加するはずです。
同じ理由で平均時給や、週働時間も減少しなかったのが良かったです。
今後の視点
米国経済がある程度底堅いことは確認できました。
リセッションはやっぱりまだだと思います。
ですが、ある程度の下方修正が今後あることは意識しておきたいです。
総合的に考えるとおそらく米国の実体経済は、ADP雇用統計と政府雇用統計の間ぐらいになっているのではないでしょうか?
そんな解釈で引き続き見ていこうと思います。
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