損切りは本当に正しいのか?資金管理の話

今日は資金管理について僕の考え方を書いてみます。

 

勝率6割へ投資するだけでは勝てない

小林芳彦さんの著書「インターバンク流FXデイトレ教本」203ページによると、勝率6割のシステムトレードで100人を対象に実験した結果、利益を残せたのはたった5人だったそうです。

衝撃的な結果ですが、この厳しい結果は連敗確率や最大ドローダウンを軽視した結果です。この実験はFXの話ですが、株式投資家も軽く考えてはいけないと思います。

つまり僕たちは、ただ単に成長するものに投資するだけでは勝てないということです。

 

資産の最大減少率を常に意識する

運用中に一時的に資産が減少する最大減少率を最大ドローダウンと言います。

 

僕は資金を動かすときは常に最大ドローダウンを意識しています。

もし最大ドローダウンが‐10%になった場合、資産は+11%で戻りますが-50%は+100%が必要です。

 

資産価値の上昇が曖昧な場合、この状況は精神的に相当なダメージだと思います。

 

ましてや個別株は‐90%なんてよくあるし必ず上昇する確信もないですから、最悪退場するかもしれません。どんなアセットでも、どんな個別株でも最大ドローダウンは継続可能な範囲に抑えないといけません。

 

損切りが必要だと妄信しない

では巷で言われているように、最大ドローダウンを小さくするために損切りをするべきなのでしょうか?

 

この考え方の方はとても多いですが、客観的に見てその一般論は正確ではない可能性があります。

 

S&P500が75年間で100倍、世界の株式時価総額も同等に伸びてることを考えると、たとえ大きく下落しようと平均的には保有し続けたほうが効率的運用だと言えます。

 

さらにS&P500の標準偏差は15%~18%です。

どんなに正しい運用、正しい投資先でもこれぐらい動くのですから、それを‐10%などで損切りし続けていたら平均的にはいつまでたっても資産は増えないことになります。

 

テールリスクと効率的運用を区別する

以上を踏まえると、最大ドローダウンを小さくするために個別株は売却しないといけない時がありますが、平均的に優位なのは損切りをしない運用です。

 

僕が思うにこの違いを区別すると、色々資産を動かすときに決めるのが簡単になります。

 

例えば成長性が高くて超割高でボラも高い株を買いたいとき、最大ドローダウンを考えて万が一に備えて全体の5%までにしておこうとか…。あるいは割安になったから10%分欲しいけどその場合は-50%で必ず損切りしよう、という具合です。

 

テールリスクを考えていなければ退場します。一方でテールリスクしか考えていないと損切り貧乏を続けてしまいます。つまり、合理的に運用するにはテールリスクを吸収し、尚且つ損切りを避ける必要があります。

 

損切りすれば次の資産への投資が促されます。

その行動が効率的であるとは言い切れず、こちらでも記したように長期的にはパフォーマンスを悪化させる可能性が高いです。

 

テールリスクを吸収し損切りを回避する

4年前の情報では、テスラは-30%以上下落したことが11回あるそうです。それでも15,000%上昇してきました。(追記:今確認したら28,000%も上昇していました笑)

一方、モデルナは高値から10分の1以上下落していますが、-30%の時点で売るべきかどうかなんて普通は判断できません。

 

売るスタンスならテスラの上昇は逃がし、売らなければモデルナのダメージを受けます。

 

この状況を一番効率的に運用していくには、大量に分散し損切りする必要を無くすことだと僕は思っています。ちなみに想定すべき下落率は、標準偏差の15%前後と、40%~55%程度の激レアな下げですが、個別株は‐50%は普通なのでもっと大きい下落になる可能性もあります。

この下落を吸収できるポートフォリオだけがまぐれに左右されず、何十年も継続できます。

 

つまり最初の実証実験の5人に入る人です。

 

正しい運用では一攫千金は起きない

今回書いたことには、ひとつやっかいな問題があります。

 

それは一攫千金を狙うなら正しいリスクの取り方をしていては不可能という事です。大きく勝つのが目的なら、合理的な運用から逸脱しないといけないし、どこかでさくっと勝ち逃げするのが賢明です。

 

これって数億円あっというまに稼ぐひとが数億円一瞬で溶かすのと似てますね。

大負けはしていない方でも、何かしらポジションの取り方(比率)を小さくしたり超分散の長期投資に変更するなど、持続可能なリスクの取り方に変更しているはずです。

 

生存者バイアスを無くして投資していこう

投資は結果がすべてだと思いがちです。

 

でも実際は、大成功に至った運用と平均的に勝つ運用は全く違います。

 

生き残り、資産を効率的に増やし続けるには、この二つを区別しなくてはいけません。

 

いくらポジションを買うべきか、損切りするか、こういうテーマでよく悩むのであれば、最大ドローダウンや標準偏差から決定してないかもしれません。その場合は資金管理が曖昧になっていないか見直してみるのも良いかもですね。

 

みなさんはどういうリスクの取り方を選ぶでしょうか?

コメント

タイトルとURLをコピーしました