インフレの現状解説
こちらは9月16日に僕のXアカウントに投稿したものをほぼコピー&記録しています。
『FRBの利下げは全く正当化されない』『インフレは70年代の再来』という見解を見たけど、こういう見解を専門家がしてるのはどうかと思う。今のデータでは正当化されるし再来もしないよ👇
GSCPIゼロ付近
物流制約の指標ですが全く上昇圧が増していないです。CPIへの圧力には約6か月先行します。
輸入物価マイナス
中国やメキシコのPPIが下落、特にメキシコが低下し始めたのが大きいね。これも4か月から6か月ぐらい先行してるように見える。
生産者物価指数(PPI)安定
PPIはパンデミック後のCPIに、最も素直に先行した指標でした。
その状況は鉄鋼スクラップなど一部では関税により強く上昇しています。しかし影響は局所的で、食品とエネルギーを除く最終需要財の4-8月の前月比の平均は+0.3%です。このカテゴリーの寄与度は全体の約19%です。一方、約68%を占める最終需要サービスのそれは+0.12%です。
CPIサービスインフレ
CPIで最重要のサービスインフレ、家賃インフレは最近強いですが、その背景にあるものは航空会社の座席削減など一過性要因が目立ちます。一過性の上に移民の減少で総需要は減少するので低下トレンドは再開する可能性が高いです。
CRB指数横ばい
商品先物総合指数ですが上昇していないので、この側面からも強い上昇圧は起きていません。
移民減の物価押し上げ効果は小さい
賃金が物価を押し上げる関係はイメージしやすいですが、この認識に疑問を投げかける研究は多くあります。例えばSF連銀の研究では、労働コストが物価をけん引した分は無視できるほどのわずかな割合だとしています。(SF連銀の記事はこちら)また、ダラス連銀の研究でも移民減による物価上昇は小さいとされています。(ダラス連銀の記事はこちら)
つまり移民減による賃金インフレで物価が急上昇という見通しは客観的な分析に基づいていません。
リアルタイム指標も停滞
クリーブランド連銀のNowcastやTruflationも概ね今後は横ばいを示唆しています。理屈がなんであれ、結局はこれらが利下げを正当化します。少なくても12月のCPIまでに物価が急上昇する可能性は現時点ではほとんどないですね。
まとめ
総合的に見れば利下げは正当化され、70年代の再上昇は現時点では来そうにないです。
インフレは自然現象ではないく、こういう力が絡み合って上昇します。インフレ再上昇を70年代当時のチャートで説明する方は多いですが、それ何の関係があるのって?って3年思ってます。
今のデータが上がるならあがる、下がるなら下がる、それだけです。今後も変化があればポストします🫡
長文に目を通していただきありがとうございました。

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