米国 2025年Q2のGDP速報を解説します GDP+3%も実体は減速傾向

遅れてしまいましたが、2025年Q2の米国GDPの速報をチェックしました。

 

米国経済分析局によると、実質GDPは+3%の成長(前期比年率)となりました。

強い結果となったことで投資系インフルエンサーも強気な意見が目立っていますが、僕の見立てでは全く逆です。

 

詳細資料を見ると、国内の個人購入者への最終販売は、たったの1.2%しか増加しておらず、2024年第3四半期の3.4%から2.9、1.9と、着実に減速しています。

 

貿易動向によって輸出入が増減しているため、現在のGDPは数値通りに受け止めることはできず、実体を現す指標はこの項目なのです。

 

どのぐらい指標がおかしくなっているかと言うと、今回は輸入の反動減で、GDPは5.18%も押し上げられています。

 

もちろん第1四半期はその逆、輸入の急増で-4.66%も押し下げています。その他、民間総投資が今回激減していますが、これも反動減なので深読みは控えたほうが良さそうです。

 

このように経済の実際の強さがわかりにくくなっているため、実体は「個人購入者最終販売」の項目で見ておくべきです。

 

あとは個人消費支出の項目も関税でムラはありますがありかなと思います。

 

その個人消費支出は、Q1で0.5%まで低迷したものの、1.4%に回復しました。ただ、1.4%でもかなり弱いです。

 

どれぐらい弱いかというと、例えば2022年のQ1、2023年のQ2が1%です。

 

2022年のQ1当時はインフレに賃金上昇が追いついていなかったときで、速報時点ではテクニカルリセッションが起きた期間でした。テクニカルリセッションとは、2四半期連続のマイナス成長のことで、よく誤解されている「景気後退の定義」です。これは専門的なデータなどでは通常、景気後退とは扱われません。

 

後にGDPが上方修正され、当時のテクニカルリセッションは無くなりましたが、もう少し減速して定着してしまうと当時ぐらいの弱さということです。

 

2023年のQ2は、シリコンバレー銀行の破綻などが起きたころで、春先におけるブルーチップコンセンサスはギリギリ0%成長を回避した時期でした。ブルーチップコンセンサスとは、優良企業約50社のGDP予測平均であり、通常は読めませんがアトランタ連銀のGDPナウに掲載されています。

 

このようにGDPが例え3%でもその実態は、減速傾向であることに変わりはありません。

 

それどころか、減速の兆候はハッキリしてきたので、引き続き見通しを維持していこうと思います。

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