米国のJOLTS求人数6月分が公表されました。
労働統計局によると求人数は7,437,000件と、5月より275,000件の減少となりました。
マーケットでは米債がやや買われ労働市場が悪化しているとネガティブに伝わっていますが、減速のペースはあまり変わっていないと思います。
なぜなら、減少はおもに金融サービス、専門ビジネスサービス、宿泊・飲食サービスなどで目立ちますが、逆に非耐久財や小売り、情報通信など、増加しているセクターも多く、経済全体が急に悪化し始めたとは考えにくいからです。ちなみに専門ビジネスサービス分野は、ADP雇用統計においても、増減が強い印象があります。
個人的に米国経済はゆっくりと減速していると考えていますが、その認識は今回の減少でも変わらずです。
同様の求人統計であるインディード求人数の推移をみても、同じことが言えると思います。
出典:Indeed, Job Postings on Indeed in the United States [IHLIDXUS], retrieved from FRED, Federal Reserve Bank of St. Louis; https://fred.stlouisfed.org/series/IHLIDXUS, July 29, 2025.
もししいて注意点をあげるなら、前回のJOLTS求人で調べ直した結論、『JOLTS求人は景気減速時に実体よりやや良く出やすい』と言う傾向です。こういう特徴があるため、油断はしないでおきたいですね。(前回記事はこちら)
また、この件とは別なのですが、新たに表面化してきたひとつの懸念が今回の求人で再確認できました。
それは宿泊・旅行業界への打撃です。
今回、宿泊・飲食サービスのカテゴリーでは求人数が30万件、雇用が10万件ぐらい減少しています。この事は消費者物価指数でも確認済みで、6月のCPIでも宿泊費のカテゴリーは前月比-3.6%も低下していました。
原因は、トランプ政権の強引な政策への反発、移民取り締まりに対する抗議デモや暴徒によるイメージの低下、そして誤った摘発などを恐れて旅行客が減っていると考えられます。
旅行客の減少はCPIにおいて価格が低下しにくいシェルターカテゴリーを強く押し下げます。
また、波及効果の強さから需要全体にややネガティブに働くので、この現象が継続するか追跡したいと思います。
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