かなり良好な結果です。
結果
米国労働統計局によると、6月のPPIは次のようになりました。
最終需要合計
前月比 +0%(前回+0.3%)
前年比 +2.3%(前回+2.7%)
食品・エネルギー・貿易を除く最終需要合計
前月比 +0%(前回+0.1%)
前年比 +2.5%(前回+2.8%)
関税の影響は加速せず
それでは関税の影響が出そうな項目を、詳細から前月比で見ていきます。
まず「食品とエネルギーを除く完成品」は、+0.3%とこじっかり強めではありますが、加速はしませんでした。
それから関税が上がる前にオフィスのPC買い替えておく?となりそうな「民間資本設備」の項目も、4月に+0.4%上がったものの、その後は+0.3%で推移しています。
そして詳細を見ていると次が一番、関税に対し素直に反応してきたと思うのですが、「中間需要向け加工品」、半導体や基盤、繊維生地など色々あり、こちらも4月に+0.3%となったものの、5月、6月は+0.1%で推移しています。
このように関税の影響がありそうな項目の価格上昇は加速しませんでした。
その他注目点 旅客輸送
こちらも前月比で見ていきますが、最終需要向け倉庫サービスが-0.9%と落ちており、関税による駆け込み需要の反動減が感じられます。
また、旅客輸送の変化に注目です。
PPIの旅客輸送とは、航空会社が旅行会社に提示する卸売り価格や、企業向け出張用年間パスなどを対象にしているのですが、そういったものを含む旅客輸送価格が軒並み-2.7%も下落しています。※季節調整済です。
これはCPIでホテルやモーテルの宿泊料が強めに下落したのと整合性があり、おそらくデモや米国嫌悪、そして誤った摘発を恐れた旅行のキャンセルなどだと思います。
ちなみに6月は灯油型ジェット燃料(メキシコ湾岸)は上昇しています。
これは需要増ではなくイランへの緊張の高まりが一因だと思いますが、燃油価格は上昇しているのに、CPIでも6月の航空運賃は-0.1%でした。つまり、CPI、PPI、ともに需要サイドが弱かったため、この燃油の上昇を十分に価格転嫁できていないと考えられます。
総評と今後の見通し
今回の結果は、局所的に関税の影響が出ていた中で、価格転嫁が加速していないことがわかる内容でした。
PPIはやがてCPIの圧力になりますから、ポジティブな結果ですね。
しかし今回のPPIの弱さは、関税駆け込み需要が終わった倉庫サービスの下落や、旅客輸送の強い下落が全体を押し下げています。そう言う意味では、実体よりもやや下げが強く見えます。
また、この事とは別に旅行ビジネスに打撃が起きている兆候がわかってきました。
影響は短期的に終わるかもしれませんが、この辺の需要の変化も頭の隅に入れておこうと思います。
コメント