6月の米国消費者物価指数(CPI)が出ましたね。
米国労働統計局によると、結果は次のようになりました。
6月のCPI結果
総合
前月比 +0.3%(前回+0.1%)
前年比 +2.7%(前回+2.4%)
食品とエネルギーを除くコア
前月比 +0.2%(前回+0.1%)
前年比 +2.9%(前回+2.8%)
注目点
エネルギー価格の上昇が総合をけん引
まず前月比でエネルギーの上昇が+0.9%と強くでました。エネルギーは全体の約6.4%ではあるものの、短期的には全体を底上げした一因とみられます。
全体的には関税の影響は小さい
食品とエネルギーを除くコアの前月比が+0.2%で、2月以降0.2%と0.1%をいったりきたりしています。
これは当初言われていた関税の影響は全く出ていないに等しいです。なぜなら、もし+0.2%が12か月続けば、年率比で2.43%になります。
現在3%近いですから、これだけでも見通しは安定鈍化で、実際は+0.1%が混じっていますからもう少し抑制される状況です。つまり現時点のデータからは激しい物価上昇が、再度起きることは想定しにくいです。
一方で関税の影響も確実に出ている
このようにマーケットの見通しほど強くない関税の影響ですが、詳細を見れば効いています。例えば家電製品や一部の家具をチェックすると、前月比にも関わらず2%近く上昇しています。
また、食品も中国からの輸入品が多いのでチェックしてみると…
僕は品目ごとの輸入の事情までは把握できてないので、安価な輸入食材もよく使われそうな「従業員の職場や学校での食事」というカテゴリーを見てみます。すると+2.7%と、これも前月比なのに強めに上昇していました。前回の+0.4%から加速しています。
こんな感じで、影響はでています。
ただ、こういったカテゴリーは相対的に影響が小さく、先に述べたように全体では限定的というわけです。
消費の低迷も一部見られる
今回、自動車価格の下落が起きています。
関税を織り込んだ一時的な需要増の反動と見られますが、同時に6月には一部メーカーが価格引き上げを発表しており、需給のズレが浮き彫りとなっています。
輸入品が多いと思われるアパレルも、ライバルが多いためか値上げが定着していません。
また、ホテルやモーテルの宿泊費が前月比-3.6%となっており、おそらく抗議デモや米国嫌悪の影響で観光客が減っている可能性があります。
さらに、今回最も重要なことかもしれませんが、総合CPIの前月比が+0.3%となり、平均時給の上昇+0.2%を超えました。この現象は続くなら消費にブレーキをかけ始めます。
こういった側面からは、価格転嫁をしたとしても、需要を維持するのが難しい現状が垣間見れます。
総合評価と今後の見通し
今回のデータからは物価上昇が一部品目に集中しているため、関税による持続的かつ全体的なインフレ圧力は弱めだと言えそうです。
しかし、広範ではないものの一部の価格上昇が明確になっており、企業は「TACOらないなら売れないけど価格を上げます」という姿勢になりそうです。
これは文字通り売れない値上げなので消費は減退します。
8月以降の関税にマーケットは楽観していますが注意していきましょう~!
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