米国労働統計局によると2月の消費者物価(CPI)は次のようになりました。
前年比 +2.8% (前回+3%)
前月比 +0.2% (前回+0.5%)
食品・エネルギーを除くコアCPI 前年比 +3.1% (前回+3.3%)
食品・エネルギーを除くコアCPI 前月比 +0.2% (前回+0.4%)
サービス価格
特別集計指数(表3)を見るとサービスインフレは前年同月比で4.1%上昇しました。また、前月比では1月に0.3%から0.5%に上昇していますが、今回もとの0.3%に戻りました。
前年比の上昇率はこの1年ずっと安定して鈍化しています。
前月比が元に戻っているのは先月の考察記事で書いたように、企業による1月の価格改定がそれまでの経済の雰囲気に左右され上振れ。それをうまく季節調整するのが難しく結果CPIも上振れ。と言う流れをある程度裏付けている気がします。
つまり経済に強気なとき(12月末時点では)は1月にCPIが上振れしやすことが今回当てはまっており、1月の強い上昇は一過性だったと考えられます。(詳細は考察記事をご覧ください)
家賃価格
サービスインフレに含まれる住居費は、CPI全体で約3割に影響する重要項目です。
こちらは表Aによると、前年同月比で+4.2%となりました。前月比では0.3%の上昇となっています。
前年比は安定して鈍化しています。
前月比も8月から鈍化傾向が続いており、0.3%×12か月分と考えればさらに低下傾向です。また、米国の家賃は秋と冬は下落する傾向があるのですが、前月比は季節調整されていますのでその点も心配いりません。
ただし、表2によると、家賃そのものと、帰属家賃(自分の家に対し家賃を支払ってると想定した架空の家賃)は、11月から前月比で落ちていないので、まだ鈍化のペースはゆっくりだと想像できます。
ちなみに、先ほどの特別集計指数(表3)によると、「住居費を除くすべてのアイテム」の項目では、前年同月比が2%の上昇になっています。これは非常に重要な事実で、住居費を除けばもう米国の物価は、FRBの物価目標と同等程度の上昇率になっているわけです。
食品価格
表2によると、鳥インフルエンザで上昇した卵の価格はまだ10.4%も上昇しています。1月の15.2%の上昇からは落ち着きましたがもう少し時間かかりそうです。
エネルギー価格
表Aを見ると、エネルギーの価格が落ちています。
これも考察記事で触れましたが、今後の物価を左右する生産者物価(PPI)、輸入物価などは、ここ数か月燃油代などの上昇が強く影響していました。
そのため、この辺が落ちてくればこういった指標も落ちやすくなるので、それがCPIをさらに押し下げる圧力が生まれやすくなります。
今後は景気拡大後半の様相へ
全体として、考察記事で考えていた通りの流れになっています。
関税は注意が必要ですが、一部で言われているように「米国の物価が1970年代のように強く再上昇する」ことは現時点の指標からは読み取れません。これは12月のFRBのガイダンスの通り今後利下げが見込めるということです。
つまり米国の株価と経済は利下げで支えやすくなり、典型的な景気拡大後半の様相になっていくと思います。
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