アトランタ連銀が提供する「GDPnow」に、ちょっと見過ごせない変化がありました。
GDPnowとは?
ご存知の方も多いかと思いますが、「GDPnow」はアトランタ連銀がリアルタイムで更新している実質GDPの予測モデルです。経済の先行きを読むうえで、僕もこれまで何度も参考にしてきました。
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輸入の影響で暴れるGDPnow
最近、関税政策の影響で「輸入額」が乱高下しています。GDPにおいて輸入はマイナス項目なので、それが直接的にGDPnowの数字を揺さぶっています。
つまり、最近のGDPnowは、一時的な輸入の増減に引っ張られている状態で、正直あまり当てになりません。
それでも注目したいライン
それでも、GDPnowには注目すべきもうひとつのラインがあります。
それが、グラフ中の青いライン、ブルーチップ・コンセンサスです。
これは、VISAなどトップ企業約50社が予測したGDP成長率の平均値です(原本は有料ですが、GDPnowにだけ無料で載っています)
僕はこの青いラインが、意外と株価と連動して動くことを、これまで何度も確認してきました。
過去の連動例
- 2023年春: ブルーチップ予測がゼロ付近で反転 → 株価も同時期に上昇開始
- 2024年末: トランプラリーと言われる株価上昇局面で、ブルーチップが横ばい → 株価は鈍化
このように、株式市場がGDPの期待値に敏感に反応している様子がうかがえます。
今回、そのブルーチップが「上昇」──でも楽観できません
先日、ブルーチップコンセンサスが上昇しました。
一見ポジティブに見えますが、僕はむしろ警戒しています。
なぜなら、その水準が「3月末の2%前後」に戻っただけだからです。
なぜ“2%水準”がネガティブか?
簡単に言えば「株価はすでに2%成長を織り込んだ水準まで上がっている」からです。
- 3月:GDP予測2% → 株価は現在より低い
- 4〜6月:関税影響などでGDP予測1%まで落下
- 直近:再び2%に回復
- 株価は3月より高い最高値圏
このような経緯ですが、僕の見立てでは、今後米国は労働人口の伸びが止まり、実質GDPは1.5%前後に減速すると考えられます。
つまりどういうこと?
今の株価は「GDP成長率2%の世界」を前提にしていますが、今後1.5%程度まで落ちるなら、その分の調整がまだ十分に起きていないという事です。
なぜ市場が鈍感かといえば、雇用統計などの“底堅さ”が投資家心理を支えているからです。(おそらく雇用統計のNFPは、過大評価されていると僕は考えています)
まとめ
- GDPnow本体は輸入に振られて不安定
- ただしブルーチップ予測は、株価との連動性が高い可能性
- 現在ブルーチップは2%水準に回復したが、それは「株価がすでに織り込んだ水準」
- 今後GDPが1.5%に減速するなら、株価は再調整のリスクを抱えている
僕は先日、4月の下落で買った株式をある程度売って、ポートフォリオの7割まで落としています。
そのためポジショントーク的な受け止め方が多少入ってるかもしれません。
また、相場の波を当てるのは本当に難しいです。
なので最終判断、情報の確認等はぜひ訪問者様自信でお願いしたいですが、一つの可能性として参考にしていただければ嬉しいです。
以上、GDPnowの注意したい変化でした。
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