昨夜の新規失業保険申請件数を見ておきます。
米国労働省によると5月24日までの週の新規失業保険申請件数は24万件で、前週の改定値から1万4,000件増加しました。(前週は1,000件下方修正されています)
今日は二つの可能性を考えておきたいです。
季節調整が上手くいっていない可能性
1つ目は、今回の上昇には学年度の終了やメモリアルデーが影響した可能性があります。
24万は季節調整された数字ですが、例えばCPIでも1月の調整がうまく機能しないことがあります(残留季節性に触れたブログ内記事はこちら)
過去3年間を見ると新規失業保険申請もこの時期に同等、またはより強烈な上昇をしているので同じかもです。
ちなみに季節調整前の数字は21万2506でした。
切りあがりに注意
2つ目の方が重要です。
チャートを見ると減少した際のボトムが切りあがっています。
つまり関税騒動の前からレイオフがやや増加傾向にあります。
こちらはパンデミックを除く長期推移です。
ノイズはありますが、リセッション(グレーの部分)の前に地味に上昇を始めています。
ちなみに1979年と81年の後退入りは、当時の経済状況を考えると実質的に同一の後退期と考えて良いと思うので81年は無視してください。
また、2008年ごろのリセッションはわかりにくいですが拡大するとこんな感じで、やはり上昇していったのがわかります。
これらを踏まえて、もし今後30万に近づくようなら警戒はしたほうが良さそうです。
ただ現時点では季節調整をミスってるだけなのか上昇を始めつつあるのかむずかしいので、また来週ですね。
継続失業保険申請件数
継続失業保険申請件数は191万9000となりました。
この水準は2021年11月以来の多さです。
過去の例ではこの指標もリセッション前に上昇傾向があり、概ね240万ぐらいには上昇します。
これも1981年の後退は無視していいと思います。(重要なのは79年の前兆が明確なこと)
1970年代が少ないのは、労働人口そのものが今より少なく、保険のカバー率も大幅に低かったためだと思います。
まとめると、まだリセッションを示すと言えるほどの変化はありませんが、来週以降に新規申請のほうがしっかり減少するのか注意が必要です。
そんな印象の失業保険申請数でした。
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