雇用統計を見てみます。
結論を言うと、15万以上の雇用にしてはあまり良くありません。
詳細データの確認
米国労働統計局(BLS)の資料によると、次のようになりました。
非農業部門雇用者数 151,000(前回 125,000)
※前回は143,000から下方修正
失業率 4.1%(前回 4.0%)
平均時給前年比 4.0% (前回 3.9%)
平均時給前月比 0.3% (前回 0.4%)
U-6失業率 8.0% (前回 7.5%) ※資料A-15
事業所調査によると
小売業(29,500→マイナス6,300へ)政府雇用(44,000→11,000)が大幅に減っています。
世帯調査によると
2月の民間労働力(雇用されてる人+失業してる人)が1億7035万9千人と、385,000人減少しました。それと労働参加率の低下が重なって雇用されてる人は最終的に588,000人減少しました。失業率は4.1%に上昇しました
また、経済的理由により仕方なくパートタイムで働いてるひとが4,937,000人となり、1月から460,000人増加しました。
※事業所調査と世帯調査で数字が極端に違うのは、事業所調査は前月の雇用増減数を基にした前月比、世帯調査は合計数をもとにした数字だからです。
失速の様子が鮮明
本来、雇用者数が151,000いればマーケットの予想より悪くてもポジティブですが、内容は良くありません。
政府雇用は政府効率化省(DOGE)で仕方ないとして小売りがハッキリと失速してるのはやはり懸念です。
さらに労働人口そのものも減少しているのがネガティブです。これが一番懸念されることで、移民流入減の影響もあると思います。ちなみに1月に急増しており、これは前回も触れましたが年次改定によるものなので、この急増は一旦無視して考えたほうが良いと思います。
それと失業率が、実際には4.139…%でした。
つまり、4.2%と公表されるギリギリのところだったわけで、これは次回も上振れしやすい位置にあります。
あと、今回はU6失業率と呼ばれる広義の失業率が急上昇しており、これが米国経済の失速をわかりやすくしています。
これは縁辺労働者や、経済的理由でパートしてる人などが含まれるのですが、後者には会社の都合でパートにさせられた方や、パートしか仕事が見つからなかった人が含まれ今回それが強めに増えていました。
マーケットはパウエル議長の発言を「米国経済余裕っす」みたいに受け止めてますが、利下げを急がないという姿勢はあまり長続きしないと思います。今回のデータはしっかり米国の雇用が失速してることがわかるものでした。
最後に
参考として事業所調査と世帯調査の乖離は、別々の算出方法なので単月でみたらよくあります。また、ここ数年世帯調査は移民のカウントが上手くできていない可能性が高く、悪く出やすい傾向があるので、極端に世帯調査だけを懸念しすぎないように注意してください。
とは言え今回は民間労働力の増加がこのまま鈍っていくことを一番注意したいですね。
民間労働力は世帯調査で出しており世帯調査はサンプル数が約6万世帯と少ないのですぐに判断することはできませんが、米国経済の生命線ですから今後も追跡していきます。
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