米国労働統計局によると次のようになりました。
生産者物価
前年比 +2.4%(前回 +3.4%)
前月比 -0.5%(前回 0%)
食品・エネルギーを除くコア 前年比 +3.1% (前回 +4%)
食品・エネルギーを除くコア 前月比 -0.4% (前回 +0.4%)
輸入物価
前年比 +0.1% (前回 +0.8%)
前月比 +0.1% (前回 -0.4%)
※前回数値は両方とも改定された修正値です。
生産者物価(PPI)
詳細を見ていきます。
※前月比の数字です。
表2を見ると、卵が‐39.3%の下落とすごい落ち込みです。
また、エネルギーのカテゴリーを見ると住宅用天然ガスや電力は1.6%前後上昇していますが、天然ガス液(-16.3%)や家庭用暖房油(-7.5%)などは下落が強めです。
卵不足がだいぶ落ち着き、エネルギー価格の下落もあって総合が落ち着いているのがわかります。
その他注目したいのは、コンピューターハードウェア、ソフトウェア、および消耗品のカテゴリーで、20%近い上昇から一転、-13.5%の急落になっています。
家電量販店も14%上昇してからの-4%と、同じ傾向です。
中国製のパソコン周辺機器や家電は多いので、セール終了で3月は急上昇し、トランプ政権の方針転換を見て、今度は前もって輸入した分もあるので下落という感じでしょうか。
卸売業者も大変です。
中国製品が多いアパレル卸売業も3月に3.3%上昇し、4月に-1%になってますが、これも同じですね。
でも上昇した分が完全にはもどりきれてないので、次回もこの辺は注目したいです。
輸入物価
次に輸入物価の詳細を見ていきます。
※こちらも前月比の数字です。
報道では予想より強かったことが強調されていますが、0.1%はかなり控えめです。
表Aを見ると、燃料輸入価格が3月の-3.4%に続き、4月も-2.6%と、強めに落ちています。
燃料以外は0.4%上昇しています。
この燃料以外のけん引役としては、PPIとは逆でコンピューター周辺機器、あと半導体や医療機器、自動車と書かれています。
ただし、表5の貿易品のコード別一覧をみると、例えば電気機器等が0.6%、自動車が0.2%の上昇など、特筆するほどかはちょっと疑問です。
輸入価格には関税分は含まれないので、やはり関税の影響を考察したい場合にはPPIを一番に注目すれば良いかなと思います。
あと補足ですが、中国、カナダ、メキシコのPPIを確認したところ下落傾向なので、現時点で輸入物価が強く再上昇していく兆候はないです。
NY連銀の物流制約がわかるGSCPI指数や、外航不定期船の運賃変化がわかるバルチック海運指数も追跡していますが、これらも落ち着いているため同じ結論になります。
全体的を通じて
全体を通じて、これらの結果はCPIやPCE価格に本格的な上昇圧がかかっていないことを示唆しています。
今まで第一次トランプ政権の関税の影響を調べたり、最近の物価先行指標をお伝えしてきた通り、関税によるインフレはマーケットが考えるほど強くなく、限定的であるとのこのブログの見立てを補強してくれます。(トランプ政権一期目の関税の影響をまとめた記事はこちら)
一応、今回PPIの前回改定が大きかったのでそこは注意して、次回どのぐらい改定されるのか一緒にチェックしていきましょー!
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